◆白内障は眼球の中の生きたレンズすなわち水晶体が白濁する疾患である。その原因としては種種の説があるが、まだ定説はない。
先天性、弱年性、老人性と大別されるが、西洋医学的には、点眼または内服による療法は亡きに等しい。いくつかの点眼や内服剤が出たが、結局は無効に近いことがわかった。したがって現在のところでは、またの以前の方式にもどって、視力が一定のところまで落ちたら手術で、というやり方に定着した観がある。ただ、視力が目前指数位に低下しなければ手術の適期でなかったものが、今は手術の技術の進歩によって0.3位の視力でも手術が可能になったという差違がある。
しかしいずれにしても、ある程度見えなくなるまで待たねばならない、という点では同じである。神経質な人にとっては、これが想像以上の苦痛であるらしい。
◆そのようなわけで、白内障の進行をおくらせ、あわよくば視力を向上させるような薬があったら、と願うのは当然のことである。 |